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車検の時期を思い出そうとして、前回いつ何を交換したかが分からなくなることがあります。設備の点検も、担当者の記憶と手帳に頼っていると同じことが起きやすくなります。点検間隔、部品交換履歴、次回期限を一つの台帳に置くかどうかが、その分かれ目になります。
予防保全が「思い出し作業」になっている職場では
よくある失敗は次の3つです。いずれも仮想例です。
- 点検表は紙で保管されているが、次回期限を計算するのは担当者の頭の中にある
- 部品は交換したが、交換日と型番が別々のExcelに残り、どれが最新か分からない
- 担当者が異動した翌月に、前任者しか知らない「半年ごとの点検」が抜け落ちる
どの例も、誰かが怠けたから起きたわけではありません。手順と記録の置き場所が決まっていなかったことが背景にあると考えられます。
なぜその問題が起きるのか
確認していない原因を含め、候補として整理すると次のとおりです。現場ごとに実態の確認が必要です。
- 台帳の項目(設備ID、点検周期、最終実施日、次回期限)が定義されておらず、人によって書き方が違う
- 次回期限を手計算しているため、更新が漏れやすい
- 交換部品の履歴が点検記録と別管理になっており、不具合調査の際に突き合わせにくい
- 点検の依頼と完了の記録が口頭や個別のメールで行われ、全体として見える場所がない
担当者の意識が原因だと決めつけず、情報設計と運用ルールから確認するのが現実的です。
放置すると何が起きるか
影響は品質だけにとどまりません。
- 品質: 期限を過ぎたまま設備を使い、不具合の兆候を見逃す可能性がある。医療機器を扱う中小企業では、保守記録の不備が品質記録の指摘対象になり得るため、判断は品質保証の責任者に確認が必要です。
- 残業: 期限確認のために複数のファイルを開いて照合する時間が、毎月まとまって発生する。
- 引き継ぎ: 前任者だけが知る周期が引き継がれず、次の担当者が一から調べ直す。
- 顧客対応: 問い合わせの際に交換履歴をすぐ示せず、回答までに数日かかる。
数字で見ると、照合に毎月半日かかっていれば年間で約6日分の工数になります。仮想の試算ですが、台帳の整備は一度の手間で済む一方、照合は毎月積み上がります。
改善の判断基準
全部をデジタル化する必要はありません。次の3つで段階を判断すると整理しやすくなります。
- 設備が数台で、点検周期が半年に1回程度なら、手作業の台帳とカレンダー通知で足りる場合が多い
- 設備が十数台を超え、担当者が複数いるなら、テンプレートを統一した共有台帳が必要になりやすい
- 期限の自動通知や作業の割り振りを求める段階になったら、NoCodeツールの導入を検討する
判断は設備の重要度や規制上の記録要件によって変わります。ここに挙げた基準は一般的な目安として扱ってください。
今日できる改善手順
Step 1: 設備一覧を作る
設備ID、設置場所、担当者、点検周期の4項目だけを埋めます。最初から項目を増やさないことが、続けるための条件になります。
Step 2: 記録を一つの表に集める
直近1年分の点検記録と部品交換記録を一つの表に転記し、「最終実施日」と「次回期限」の列を作ります。次回期限は手入力せず、「=EDATE(最終実施日, 周期月数)」のような計算式で求めると更新漏れを減らせます。
Step 3: 期限を見える化し、確認日を決める
期限が2週間以内の行に色を付け、週1回の確認時間を決めます。1か月運用したら、漏れた件数と確認にかかった時間を記録し、次の改善点を決めます。
次の一歩
台帳の項目が固まったら、設備一覧、点検記録、部品交換記録の3シート構成をテンプレートとして社内で共有すると、導入時の迷いが減ります。属人化と残業の関係から見直したい場合は、次の記事も参考になります。
よくある質問
点検周期はどこで決めればよいですか
取扱説明書、社内の品質手順、関連する規制要件などを基に決めるのが一般的です。医療機器の場合、周期の妥当性はQMS責任者など権限を持つ人に確認してください。
紙の記録をすべてデジタル化する必要がありますか
記録の保存要件によります。原本の扱いは既存の文書管理手順に従い、デジタル化後の扱いも含めて責任者の確認を取ることをおすすめします。
NoCodeで作った台帳は監査で問題になりませんか
監査での扱いは、組織の品質システムと記録管理の方法によって変わります。断定できる内容ではないため、ツールの選定と運用ルールは規制対応の責任者と事前に確認してください。
担当者が一人しかいない場合も台帳は必要ですか
必要性はあります。担当者が不在のときに誰が何を確認すべきかが分かるよう、台帳を見れば次の作業が分かる状態にしておくと役立ちます。
ツール紹介
台帳の運用が軌道に乗り、期限通知や作業の割り振りを自動化したくなったら、ツールの検討に進みます。ツールは手順が固まってから選ぶと、必要な機能を取り違えにくくなります。
NoCode業務アプリ作成ツール
Kintone、Airtable、AppSheetなどは、台帳を業務アプリとして作る選択肢です。入力フォームや期限通知を組み込みやすい一方、料金や利用条件は変わるため、公式サイトで最新情報を確認してください。
表計算テンプレート
本記事のStep 1から3で作る表計算は、追加費用なしで始められます。まずは表計算で1〜3か月運用し、足りない機能が明確になってからツールを比較するのが安全な進め方です。
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